Japanese Language Test JLPT 2002 Question Sheet 1kyuu Dokkai Bunpou 2

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2Japanese Language Test JLPT 2002 Question Sheet 1kyuu Dokkai Bunpou 2

問題用紙

1級

読解・文法

(200点90分)

 

問題II次の(1)から(3)の文章壱読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。

(1)(① 読書とは、本を買うことである。買ってしまえばこっちのもの、いつか必ずページを、開く。買って積んでおくだけの、俗にいう(注1)「ツン読」も読書のうちなのである。

この場合の「買う」とは、書店で手にして、ちらとでもこころが動いたち、即座にその場で買ってしまうことを指す。もうちょっと考えて、とか、明日でもいいや、とか、帰りに駅前のあの店で買えばいいか、なんぞと (注2)考えた瞬間、その本との縁は切れたと知るべし。(中略) その場で即座に買えないのは、一つには失敗を恐れるからだろう。せっかく買っても、読ん でみてつまらなかったらどうしよう、と考えてしまう。しかし、②
失敗も読書のうち。 読んで、つまらない、と感じるのは読んだからなのである。「つまらない」と思っても、それを「失敗」と考えてはいけない。

「つまらない」と判断できたことをむしろ誇るべ きなのである。つまらな い本をつまらないと感じられる人は、面白い本を面白いと感じられる人。失敗を心配するよりも、本質的につまらなく、くだらない本を、面白いと感 じているかも知れないことのほうを心配すべきなのだ。

せっかく買ったんだからと、つまらないのを我慢して読みつづける必要はない。自分の判断 を信じて、すぐに放り出せばいい。 もちろん、数多い本の中には、すぐには面白さの伝わりにくいものもある。はじめは とっつきにくく (注3) ても、読み進んでゆくにつれて面白さがにじみ出てくる本がある。いったんは放り出したのに、何かのひょうしに(注4)もう一度手にしたとき、実に面白く読める、③そういう類の本もたくさんある。

何度も読んで、そのたびに新しい面白さを発見する本もある。たとえば漱石(注5)の『吾輩は猫である』は、小学校三年生のとき以来、何度手にしたことか。二十歳にはそのときの、還暦には還暦の楽しみ方がある。
(轡田隆史「「考える力」をつける本』三笠書房による)

(注1)俗にいう:一般的に言うように
(注2)~なんぞと:~などと
(注3)とっつきにくい:親しみにくい
(注4)何かのひょうしに:偶然に
(注5)漱石:夏目漱石、19世紀から20世紀はじめにかけて活躍した小説家

問(1) 筆者が ① 読書とは 、 本を買うことである でいう 買うこと とはどのようなことか 。
1.時間をかけて、よく考えてから買うこと
2.少しでも興味を持ったら、すぐに買うこと
3.書店で手にとって失敗しないように買うこと
4.よく知っている店で、店員に相談して買うこと

問(2) ②失敗も読書のうちとあるが、なぜか。
1.いろいろな本を読むことで、本の価値が判断できるようになるから
2.本を買って失敗したと思っても、 買ってしまった本は最後まで読むから
3.失敗だと分かっていても、読書することによって知識の量がふえるから
4.いろいろな本を読むことで、くだらない本でも面白く感じるようになるから

問(3) ③そういう類の本とはどんな本か。
1.面白さを発見するために読む本
2.何度読んでも、面白さを発見す る本
3.第一印象とはちがう面白さを持つ本
4.面白くなくても読み続けなければならない本

問(4) この文章のまとめとして最も適当なものはどれか 。
1.つまらない本を読み続けても、面白くなるとはかぎらない。
2.買った本を何度も読めば、その価値が分かるようになるはずだ。
3.読書の面白さを知るためには、まず本を買って身近に置くことだ。
4.本の面白さは年齢によって変わるので、小学生からの読書が大切だ。

(2)大学の講義やゼミナール(注1)の場を通し、折にふれ(注2)、私は学生諸君に向かって、「せっかく大学に入ったのだから、ひとつでも多く知的感動を味わい、学問を楽しんでほしい」 と語りかけている。
しかし、現状を見ていると—-もとより(注3)私の力不足もあろうが——残念ながら、①こうしたメッセージが若い諸君の心に十分、伝わっているとはいい難い。彼らのほとんどにとって楽しみの対象といえば、サークル活動やスポーツ、音楽、映画、漫画、ある いはさまざまなレジャーであり、それらはいずれも学問とは距離を置いたところにあるからである。
、私が日々接している学生諸君についていえば、彼らの多くは決して学業 をおろそかにしているわけではない。彼らはそれなりに勉強し、高い学力をもっている ことは間違いない。
こう書くといささか矛盾めくように(注4)聞こえるかもしれないが、大方の学生にとっては学問を楽しむ心の余裕をもつ以前に、まずは目先の目標を順にかたづけなければならないという”謡造観念”が先行するのであろう。具体的にいえば、単位の最得、進学、 就職など実利的な目標の達成が、焦眉の急な(注5)のである。③それはそれで仕方ないのであ ろうが、こせこせせず(注6)、もう少し精神の豊かさをもって学問を見つめ直し、大学生活を送ってもらいたいと、つい注文をつけたくなる。

(小山慶太「知的熟年ライフの作り方』講談社による)

(注1)ゼミナール:ゼミ
(注2)折にふれ:時々
(注3)もとより:もちろん
(注4)いささか矛盾めくように:多少矛盾しているように
(注5)焦眉の急:急いでしなければならないこと
(注6)こせこせする:小さいことにこだわる

問(1) ①こうしたメッセージとあるが、どんなメッセージか。
1.大学に入ったのだから、学問上のおもしろさを知ってほしい。
2.大学に入ったのだから、学問とは別の楽しみも見つけてほしい。
3.大学での学業をおろそかにしないで、高い学力を身につけてほしい。
4.大学卒業のために必要な単位をとり、自分の希望をかなえてほしい。

問(2) ②の中に入るものはどれか。
1.それゆえ 2.だからこそ 3.それどころか 4.かといって

問(3) ③それはそれで仕方ないとあるが、何が仕方がないのか。
1.学生に伝えたい自分の思いが十分伝わらないこと
2.サークル活動やスポーッを楽しみの対象とすること
3.目先の目標をかたづけなければならないとあせること
4.一つでも多く、知的感動を味わい、学問を楽しもうと思うこと

問(4) 筆者によれば、現在のほとんどの学生の目標は何か。
1.精神の豊かさをもって学問を見つめなおすこと
2.いい成績を取って、進学あるいは就職を果たすこと
3.サークル活動やスポーツなどにより学問と距離を置くこと
4.自分のメッセージを、他の人に十分伝わるようにすること

(3)世界の諸民族のあいさつを調べてみると、(中略)握手に代表されるような相互的なあいさつはきわめてめずらしいことがよくわかる。それはたいていの社会で、身分や地位や役割がはっきり定まっているからにほかならない。また、毎日の軽いあいさつがお こなわれる社会が少ないというのは、それらの社会では人ぴとはもっぱら家族や親族や部族など所属する社会集団の成員(注1)として生きていて、個入としての役割があまりみとめられていないことと関係している。そうした集団内では、物のやりとりなどの際にも、ふつうあいさつはいらないのである。たとえばインドでは家族や友入のあいだではふつ う感謝の表現はおこなわれない。かえってタブー(注2)視されるのだが、家庭の食卓で塩を手渡してもらっても「ありがとう」という欧米流は、家族が一体になって暮らす社会では、むしろ”他人(注3)行儀”なことなのだろう。

日本人もいつのまにか家庭のなかで「ありがとう」をくりかえすようになった。しかも、それは文句なしによい習慣とかんがえられているようだ。それは家族が身を寄せあ うようにして生きていた暮らしがすっかり過去のものになり、人間関係が様変(注4)わりしたことを如実(注5)に物語っている。

(野村雅一「身ぶりとしぐさの入類学」中央公論新社による)

(注1)成員:団体などを構成するメンバー
(注2)タブー視する:人前で話したり、したりしてはいけないことだと考える
(注3)他人行儀:(家族や親しい人に対して)他人に対するように冷たく振る舞うようす
(注4)様変わりする:ようすがすっかり変わる
(注5)如実に:明らかに

問(1)相互的なあいさつはきわめてめずらしいとあるが、なぜか。
1.多くの社会では、人々の身分 や役割がきまっているから
2.身分や地位に関係なく、握手が代表的なあいさつだから
3.毎日の軽いあいさつがおこなわ れるのが、あたりまえだから 4.世界の諸民族で
は、身分や役割がまだはっきり定まっていないから

問(2)インドについての説明として正しいものはどれか 。
1.個人としての役割がみとめられているので、ふつう家族に「ありがとう」と言わない。
2.家庭の食卓で塩を手渡してもらって感謝の表現を使わないことは、タブー視される。
3.家族や親族などの社会集団の成員同士の間では 、感謝の表現がよく使われる 。
4.家族が一体となって暮らす社会なので、あまり「ありがとう」と言わない。

問(3) 日本についての説明として正しいものはどれか。
1.「ありがとう」がよい習慣と考えられるのは、人間関係がかわって個人としての役割があまりみとめられていないからである。
2.かつては家庭あ中で感謝の表現はあまり使われなかったが、最近はよい習慣と考えられて頻繁に使われる。
3.昔から家庭の中では感謝の言葉がよく使われていたが、最近は文句なしのよい習慣として定着している。
4.家庭の中で感謝の言葉がよく使われるのは、家族が身を寄せ合うようにして暮らしているからである。

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